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お金持ち特集 男の話(3)

「な、なんで知ってるの?僕が痔だってこと。」

「おまえの人生は、私が設計している。」

「はあ?」

「年収約500万の父親とピアノ教室を営む母親の元に生まれた次男。学生時代は勉強ができて優秀。高校時代に初めての彼女ができる。その彼女とは3ヶ月で別れる。初体験は大学時代、同じテニスサークルの女と。名前は、真由美。この恋も長続きせず、結局彼女の浮気が原因で半年で終わる。大学卒業後、大手食品企業に就職、目立った業績はなく、10年で退社。現在、失業保険で生活中。痔になる。10年後、痔、癌化。5年後に癌細胞がリンパに転移し、死亡。享年47歳。」

女は淀みなく、何かを読み上げるように言って僕を見た。

「は、ははは、面白いことを言う人だな。47歳で死ぬって?えらい早死にじゃないか。そんなこと信じるとでも思うわけ?」

 僕は正直、驚いたよ。ありえないと思いつつも、額に冷たい汗が滲み出るのを感じた。
女の言うことは、少なからず当てはまっていた。僕のこれまでの人生に。

「ど、どこで、どう調べたか知らないけど・・・。こんな僕を調べてどうする。何のとりえもない男だ。何が目的なんだ?」

「まだ分からないのか。愚かな男だ。それも仕方ない、そう、設計したのも私だ。」

「それに、初体験の相手は真由美じゃない。真由美とはそういう関係じゃない。」
僕は、Tシャツの袖で額から落ちる汗を拭った。

「名前の違いは、わずかなぶれにしかすぎない。設計上、たいした違いはない。」

「大きな違いだ!真由美は僕の幼馴染で親友だ。僕らにはセックスなんて必要ない。お互い、ただ側にいるだけで分かり合える。大切な存在だ。男女の枠を超えてね。今日会ったばかりの君に何がわかるっていうんだ。」

「今日会ったばかりなのに、おまえはもう、私の赤いワンピースを脱がして、抱こうとしたじゃないか。おまえのがらんどうの家で。おまえは、真由美を抱いた。何度も何度も繰り返し繰り返し。ベッドの上に裸で横たわる真由美をおまえは縛り上げて、真由美のあえぎ声に興奮したじゃないか。」

「現実じゃない!想像じゃないか!想像して何が悪い!」

「誰が悪いと言った?悪いと思っているのはおまえだろ?想像?空想?大いに結構。おまえの人生が豊かになるように、優れた想像力を付加しておいて良かっただろう?感謝したまえ。親友、親友と叫びながら、頭の中で何度も真由美を犯すがいい。」

僕の中にある硬い殻に包んで鍵をして大切にしまってあるものを、白昼の下に晒されたようで、居たたまれなかった。

古い記憶。大学時代のテニスサークルの部室だ。僕と真由美がいる。
―誰にも言わないって約束してくれる?
―どうした?何かあったの?
―あたしたち、親友だよね?信用しているから言うけど、誰にも言わないでよ?
―なんだよ。
―あたし、この前、柴田先輩とラブホテルに行ったの。
―はあ?そんなこと俺に言ってどうするの。
―・・・、だって親友じゃん。
―・・・そうだけど、別にそんなこと言わなくていいだろ。
―そうかな。
―そうだよ。
―あたし、柴田先輩のこと、マジで好きになった。
―そんなこと、俺に言わないで、本人に言えよ。
―そうだね、変なこと言ってごめん。

変に胸の奥が疼く感覚。僕は真由美に恋をしていたのだろうか。

「お二人様で5880円になります。」
とレジで店員が言うと、女が6000円を払って20円を受け取り、僕らは何事もなかったようにホテルを出た。
 外に出て空を見上げると太陽がぎらぎら照りつけて、僕は目の前がぐらぐらした。
コンクリートがサンダルのない方の足の裏をじりじりと焼いた。


つづきはこちら→取材(3)
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2006/06/10(土) 13:09:53|
  2. 短編
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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  1. 2006/06/16(金) 11:51:04 |
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まずは、とりあえず書いてみよう!と思い始めたブログです。
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少しずつですが書き溜めてます。
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