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透明フェロモン(1)

 お継母さんのことをカノンさんと呼ぶようになったのは、ミチヒロさんが死んで一週間ほど経ってからだ。
「ユウちゃんにお継母さんって呼ばれると何も変わってないみたい。」
と言うカノンさんの視線は、西日に照らされたオレンジ色の海と紺色に染まりかけた空が溶け合うあたりに向けられていたけれど、虚ろで何も捕らえていないようだった。
ウッドデッキ越しに、眼下に広がる海を眺めがなら、ダイニングテーブルに向かい合っていた。
「カノンさん。」
潮の音にかきけされるほどにつぶやいた私の言葉に、カノンさんは、紅茶をすするのをやめ、軽く首を傾げた。さらさらと長い髪が、華奢な背中を擦る音がした。
 どこかに行ってしまっていたカノンさんの魂が、ほんの少し戻ってきたような気がした。
「・・・これからは、そう呼ぼうかな。」
紅茶の入ったマグカップをゆっくり回しながら、
「・・・そうね。それもいいわね。」
と言うと、カノンさんは、納得したように目を閉じると鼻から大きく息を吸って、また少し紅茶をすすった。

 大学を卒業してから何も考えずに就職した会社は3ヶ月しか続かなかった。何より上司と馬が合わなかった。他の同期がうまく会社に馴染んでいくのを横目に、窮屈なスーツと慣れないヒールに自分を合わせることができない自分を不甲斐なく思いはしたけれど、挫折感はなかった。根が楽観的なのだ。それでも、同じ街角で、「やあ、久しぶり、最近どう?」などと元同僚に声を掛けられ、平然と愛想を返せる訳もなかったので、辞表を出した翌日には、乱雑に詰め込んだボストンバックを片手に、逃げ出すように高速バスに乗り込んだのだった。
 とにかく、知り合いのいないところに行きたかった。
 その高速バスで隣の席に乗り合わせたのが、ミチヒロさんだった。

透明フェロモン(2)
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2006/03/29(水) 18:01:20|
  2. 連載
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<透明フェロモン(2) | ホーム | はじめまして!!>>

コメント

こんにちは!

透明フェロモンって題名
ズルいぐらいステキですね。
早速パクリます。笑

続き楽しみにしています。
  1. 2006/03/29(水) 22:08:37 |
  2. URL |
  3. KING MONKEY #-
  4. [ 編集]

KING MONKEYさん

ありがとうございます。v-10
  1. 2006/03/30(木) 18:26:26 |
  2. URL |
  3. Neutron #-
  4. [ 編集]

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お立ち寄りいただきありがとうございます。
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まずは、とりあえず書いてみよう!と思い始めたブログです。
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少しずつですが書き溜めてます。
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