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K氏の森(2)

1日に10Yok伸びる「木」は、比較的成長が早い方。
え?なに?・・「Yok」を知らないって?・・・そうか、
お嬢さんはあちらの世界に行ったことなかったんだっけ。

「Yok」とは、あちらの世界で、長さを表す単位だ。我々は、「木」の一本一本が10万Yokに達する前に、あのお方、え、そう、確かにあのお方は「K氏」と呼ばれておったが、恐れ多くてわしの口からはあのお方を「K氏」なんて呼べたものではなかったのだ。
だからここでも、わしは「あのお方」と呼ばせてもらうことにしよう、お嬢さん。・・・えっと、そう、10万Yokに達する前に、「木」を切り倒すのが我々の仕事だったのだよ。そして、一日に一度やってくる、「トッコロリー」に積み込んで、あの方のもとにお届けするのだ。「木」が悪くなる前にね。え?トロッコじゃないかって?まあ似ているが、正確には「トッコロリー」だ。

 どうしてあの方にお届けするかって?そら、あんた、あのお方が召し上がるためさ。何を?って、お嬢さん、今わしは「木」の話をしておるのだよ。ちゃんと聞いておいておくれよ。あのお方は、「木」しか召し上がらないのだよ。

 連れてこられて最初の数年は、どの「木」の成長が早いか、どの「木」がもうすぐ10万Yokに達しそうか、検討がつかんのだよ。何しろ、木々は背が高く、空一面を覆っていたからね。根っこの方から見たってその「木」の高さなんて分かるもんじゃない。だから、我々は、木々を管理する際に、月に一度「木」の根元に、記録しておくのだ。

「現在5千Yok、及び、『5Yok/日』」

とね。そうすれば、どのくらいの高さに達しているのか、見極めることができるのだ。熟練の木師は、そう、我々の職業を「木師」と言うのだよ、そんな記録を見なくとも、「木」に耳を押し付けて内部の音を聞き取るだけで、その「木」の高さから、伸びる速さまで手にとるように分かるのだがね。そこまでいくには少なくとも10年はかかる。わしも12年程要したがね。

 森ではわしは主に「にほんひと」の「木」を管理しておった。「木」の本数は、「にほんひと」に属するものがざっと1億3千本、そのほか、「あめりかひと」約3億本、「ちゅうごくひと」約13億本、「ろしあひと」約1億4千本、「いぎりすひと」約6千万本・・・、そして「ほかいきもの」に属するものが、・・・・そう、この「ほかいきもの」に属する本数は、「木師」とて、把握できない本数だった。

 「木師」になると、「木」の質も理解できるようになるのだ。「木」に耳を近づけると、聴こえるのだよ。

「ハラヘッタメシクイタイ、アシタハレタライイノニ、カノジョホシイ」

「シュウショクシタイ、ハタラキタイ、オヤニラクサセタイ、カゾクアンシンサセタイ」

「イマカレトワカレタイ、モトカレトマタヨリヲモドシタイ」

「ショウキュウショウカクシタイ、カチョウニミトメラレタイ、オサケアビルホドノンデモゲンキデイタイ」

「アノオンナトエッチシタイ、ドロドロノ、スゴイノガイイ」

という、ありふれたものから、中には、

「アイツヲコロシタイ、モウニドトカオモミタクナイ」

「ハヤクシニタイ、ネットデボシュウシタイ、ヒトリデハシニタクナイ」

という、「むつむつ」な「木」もある。「むつむつ」とは我々「木師」用語で、こういう質の悪い「木」のことをいうのだけれどね。

 我々「木師」はできるだけ、10万Yokに達する前の「むつむつ」ではないもの、を選んで切り倒し、「トッコロリー」に積むように、教えられるのさ。「むつむつ」は、よくない。10万Yok以上に成長させて、枯らしてしまった方がよっぽどましなのだよ、わかるかい?

 でも、注意しなければならないよ、「むつむつ」が枯れるときは、すごい悪臭を放つからね。
 そばにいるなんてもってのほかだけれど、どうしても、そばに切り倒さなければならない「木」がある場合は、あれさ、えっと、なんだっけ、・・・・そうそう、ガスマスクね。あれをつけて作業に取り組むのだよ。

 そうだ、忘れていた、「木師」の誇りとやらを教えてあげよう。それは、あのお方が、召し上がりたいと思われている「木」を切り倒すことだ。

あのお方が召し上がりたい「木」とはね、たとえば、

「カゾクガミナケンコウデタノシクセイカツデキマスヨウニ」

とか

「タクサンベンキョウシテイシャニナッテヒトビトヲタスケタイ」

とかね。あのお方のおっしゃることには、それこそ、舌がとろけるほど、なのだそうだ。

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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2006/04/10(月) 22:21:52|
  2. 短編
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