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K氏の森(1)

以前、仕事で札幌に出張に行くことがあった。その飛行機の中での話である。ボーイング767型機。朝はまだ早い。日頃の睡眠不足を補おうと、居眠りを決め込むつもりだった。
隣の席には、白髪の老人が、よっこらしょ、と座った。
私はうとうとして、夢とうつつの境界線あたりをふわふわと行ったり来たりしていた。

シートベルト着用のサインが消えましたが安全のため座席ではシートベルトをお閉めください、というアナウンスがながれると、隣の老人は、ぐはあと、変な音を吐き出した後、
「しかしまあ、現代の産業は発展したものだねえ。鉄の塊が浮き上がるんだからねえ。」
と独り言なのか、私に話し掛けているのか、わからないような言い方で言った。老人の方を振り向くと、待ってましたとばかりに、老人は話しはじめた。

「わしはねえ、200年ぶりに、戻ってきたんですよ。え?なんだって?・・・200年ぶりっていったんですよ。200年前は、日本でいえば、江戸。ヨーロッパならナポレオンの時代かねえ。その時代に、わしはあのお方にお使えするために、選らばれた数人のうちの1人でね。・・・・え?んあ?・・・もう、この年で耳も遠くなってねえ。まあ、そういわずにお聞きなさいお嬢さん。世界で数人のうちの1人に選ばれると言うのは大変な名誉なことだったのですぞ。」
というと目を細めた。私は、何を言っているんだこのじいさんは、大丈夫なんだろうか。キャビンアテンダントを呼んで席を替えてもらおうか、いや、それも、面倒だな、それにしても、老いというものは、時にユーモラスであることだな、と思って、上の空で聞き流すことに決めた。

「あのお方の使いの者に、連れられて到着したのは、どこまでも、どこまでも続く森の中心だった。使いの者の話によると、その森をそちらの世界では『K氏の森』と言うのだそうだ。」

K氏の森?

「わしらの仕事は『K氏の森』で、「木」の管理をすることだった。200年も、よく続いたもんだと我ながら感心するんだがね。まあ、途中で辞めるという道はないに等しかったのだけれど。」

老人はすごいだろう、というような顔つきになってなお話し続けたのだった。

K氏の森(2)へ
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  1. 2006/04/10(月) 22:20:56|
  2. 短編
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まずは、とりあえず書いてみよう!と思い始めたブログです。
まだまだ未熟ですが・・・。



少しずつですが書き溜めてます。
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